150 実習課題
settings.icon開発課題に取り組むためのさらなるヒントとして以下の実習課題を提示する.
必ずしもこれに従う必要はないが,やってみる価値はあるはずだ.
【実習課題160-1】(求めるべき値の整理)
1-(A$ )LCR直列回路の特性に関する全ての要素をリストアップしよう.
1-(B)それぞれ「単位」「測定方法」「算出方法・式」を考え,一覧表を作成する(図1-1.1).
1-(C)機器の精度・測定精度・算出精度を考えつつ,実験・計測の手順を考えよう.
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図1-1.1 求める素子・回路値一覧(例)
【実習課題160-2】($ L,f_0,Q_0,\Delta f←LC回路より)
$ Cの真値として,仮にを公称値またはマルチメータの値を採用するとすれば,あとは$ Lの値が求めやすくなる.これにはLC回路を使うのがシンプルでいいだろう.Lは回路の共振周波数$ f_0が測定できればそこから算出できる.
$ LC回路では,$ Lが交流抵抗$ r′を含むため,理論上はLCR回路と等しい.外部の$ Rを用いる必要がないために,$ Lを精度良く算出できる可能性が高い.
※過渡特性観測からは時定数$ \tau値や共振角速度$ \omega_0値,コイルのインダクタンス$ L,Q_0が求まる.いずれも回路特性値として重要な値である.また,同じ$ Lや$ Q_0値を異なる計測方法で求めて比較すれば,測定精度についての考察を深めることができるだろう.
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※注意※ あくまでも目標は3つの課題をクリアすることである.「500:参考実験集」で紹介する実験は課題解決の「ステップ」と捉え,どの実験のどの結果をどう利用するかは,しっかりとグループで話し合い,実験プラン=方針+手順および評価プラン=まとめ+評価+考察を自分たちで考案し,それをレポートに反映させること. 【実習課題160-3】(RとC←RC回路より)
$ R,Cにはメーカー公称値があり,製品の種類により誤差範囲が定められている.個々の値は誤差範囲内ではあっても,個体差がある.
すぐに測定できるのはマルチメータ(LCRメータ)である.が,これも測定器の一つなので,測定条件やその精度の限界がある.上の課題では「仮に真値」としてマルチメータでの測定値を仮定しているが,それが本当に真値にどこまで近いのか,確認する必要がある.それには別の測定方法を考えなくてはならない.
素子個体の真値(に近い実測値)とその精度を求めるプランを考えてみよう.
回路素子の値を求めるには,より単純な回路で測定するほうが精度は向上するはず.パッシブな回路において,直接測定が難しい素子は$ CとLである.未知の素子を減らしていくには,これらの要素を減らして測定が容易な素子から始め,そこから算出していく.
※プロローグの「条件はシンプルから始める」を思い出そう
例えば,$ Lを使わない「$ RC回路」を使えば,測定しやすい$ RからCを算出できる.
※原理は付録A「$ RC回路の特性」(p.19)参照
「521 RC過渡特性測定 参考実験」には$ RC回路の過渡応答特性から,時定数$ \tauを測定する実験が紹介されている.実験回路や測定しやすい条件値,手順も一通り掲載されている.手順の概要をかいつまむと以下のようになるだろう. 1. $ RC回路を構成し,測定系も構成する.※測定機器は校正する
2. 方形波を印加し,オシロスコープに示された波形を観測する
3. 最初の時定数$ \tau_{(a)}を見つける
4. $ Rをテスタで測定しておき,$ R値と\tau からCを算出する
5. 算出値と公称値の誤差について検討し,実験系の精度も考慮する
第1日目の内容は以上.
2024/4/8